目標を達成したいと思うなら他人に発表することだ。
そうすることで自分が意識し、その目標に近づくことができる。
――願いは知らんがな。
「では出来た者から発表したまえ」
とりあえず、オレが挙手する。
「明日天気になりますように!!」
「誰も手を挙げないのかね」
ダメだ。完全にスルーされた。
「はい!一番サヤ、行きます!」
サヤがオレのことをスルーする。
「無病息災!」
「うっわ」
思わず声を上げてしまう。
「何さ、そこ!」
「いや、無難すぎて」
あまりに普通だ。
「はい」
今度はカナコ。
「学業祈願」
キョウスケとカナコ、受験大丈夫だろうか。
「というか、誰も『なりますように』って書かないんだな」
「俺の番だ」
エイヤ。
「庭の木にお金がなりますように」
「『なりますように』の用法が違う!あとなんだよその願いは!」
「次はワタシだ」
キョウスケ。
「どうにかなりますように」
「どうにもならねえよそれは!」
なにをどうしたいんだよ、キョウスケは。
「最後はリン君だ」
はい、とリンはすっとその場に立ち上がった。
そして、言う。
「みんなの願いが叶いますように」
「キレイにまとめやがった……!」
なんというか、とてもリンらしい。
「だけど、六枚だけじゃ物足りないね」
言いながらカナコが厚紙を取り出していた。
そんなに飾ってどうするよ。
まあいい。
「今度はもっと面白いこと書く」
「誰が大喜利大会をやろうと言ったのかね」
七夕は次の木曜日だ。



