オレたちは部屋に戻ると、また携帯ゲームでレースを始めた。
楽しい。
一人でやるよりも、何倍も白熱する。
こんな楽しいことでも、今日で終わりなのか。
そう思うと、なんだか……なんだろう。
「お前ら……叱られておきながら、まだゲームやるか」
そう言う担任は、今日も見逃してくれた。
そして、夜が明け、朝が来る。
旅の終わり、夢の終わり。
そんな言葉が相応しいと思った。
だけれど、まだ高校生活は始まったばっかりだとも思った。
そう、これから。
これからなんだ、と。
荷物をまとめて、またくだらない集会を聞き流した。
それから、
「記念写真を撮るぞー」
担任がクラスを集めた。
三列になってクラスメイトが横に並ぶ。
オレの隣は藤沢と、
「リン……いたのか」
「いましたよ」
そうだ、リン。
「リンは……この集団宿泊、楽しかったと思えるか?」
「ナオキさんは?」
「質問に質問で返すなよ」
うーん、と考えるリン。
その隣には、カッターでリンとペアになった女子がいた。
「……いろいろありましたけど」
確かに、リンは災難にあったけど。
「……楽しかったですよ」
そうか。
「……オレもだ」
それから、おかしくて二人で笑った。
「はい、もういいぞー」
ちょッ!?
話し込んでいる間に写真を撮られてしまった。
「あとで写真見たら、オレとリンが仲いいみたいじゃねえか」
するとリンは、
「違うんですか?」
と言った。
「……まあ、それでもいいか」



