藤沢がオレの肩をたたく。
なんだよ。
「……ナオキ。一応言うけど……」
だから、なんだよ。
「……今日も、泊まるんだよ」
「マジでか」
「最初に二泊三日って言ってたじゃないかあ!!」
そう……だったっけ?
「着替えはあるのか?」
エイヤが言った。
「……多分、昨日、一昨日のオレなら用意周到だ」
「お前は時間が進むに連れてバカになるのか」
多分そうかも……って、そんなバカな。
夕飯も終え、入浴も終えた。
着替えはあった。
そして、これからは集会だ。
おそらく最後……。
「明日の朝も集会あるよ」
これからラスト二回の集会だ。
オレたちは上り始める。長い長い階段を。
昨日と違うのは、暗いからケータイの光で足元を照らしていること。
さすがにこれは仕方ないことなので、教師陣も容認した。
そして、筆頭教師の演説が始まった。
「……えー、みなさん。ご苦労様でした……」
まったくだよ。
今日はいろいろなことがあった。
……普段学校に行っているだけでは、起きる事のない出来事の数々。
――リンが倒れた。
だけど、リンに話し相手が出来た。
――オレにはレーサー友達が出来た。
他にも、今までになかったことばかり。
「……これはみなさんの貴重な経験に……」
まったく……くさいが、その通りだと思うよ。



