「うう……僕のことは置いて、先に行って……」
「わかった」
藤沢を置いて階段を上る。
が、足を掴まれた。
「……本当に置いていくことはないんじゃない?」
「担任に報告しといてやるよ」
「肩を貸してくれるだけでいいから」
んなこと言ったって。
「オレの肩は取り外しできない」
「当たり前だよっ!!」
仕方ないな。
オレは藤沢と並び、肩を組む。
「ファイト、おー、だよ」
藤沢が言った。
「やっぱやめるか」
「ごめんごめん。もうふざけないから」
そんなわけで、オレたちは階段を上って行った。
しかし、いろいろあるな、この階段は。
集会。
昨日と同じでほとんど聞いていなかった。
重要な連絡はあとで藤沢から聞けばいい。
朝食。
「……またお前らか」
藤沢に昨日と同じ指示をして、それでも昨日と同じ状況になっていた。
「いいじゃん別に」
サヤ、もういいよ。
「おはよう」
エイヤもいる。
……そういえば、リンは。
「おはようございます」
リンがお盆を持って現れた。
今日はまっすぐオレたちを探してきてくれたのか。
『これが私の『あり方』なんです』
昨日のリンの言葉が思い出される。
その『あり方』がオレたちと一緒にいてくれるものだったら、嬉しい。



