もう座る場所がないのに……リンは何をしていたのだろう。
オレにはリンが孤立しているように見えた。
そして、それが心苦しかった。
「こっち来いよ」
そう呼びかける。
リンは気がついたようだ。
手に持つ盆を気にしながら歩いてくる。
その姿は、いつもと少し違ってみえた。
「ほら」
両手がふさがっているリンのために椅子を引く。
リンは机に盆を置いて、こちらに向き直った。
「……ありがとうございます。ナオキさん」
「礼なんていらないさ」
オレは、リンが一人でいるのを見ていられなかった。
「やはー、リンちゃん」
サヤが明るく言った。
……そうやって明るく振舞っていれば、オレは妙な心配をしなくていいのかもしれない。
だから、オレも極力明るく振舞う事にしよう。
「結局、文芸部がそろったな」
最初はこのメンバーで集まろうと思ってはいなかったのだが。
「……文句はサヤに言え」
「別に不満があるわけじゃないさ。ちょっとおかしいなって思っただけ」
これが部活という集まりなのだろう。
オレにとっては不思議な感覚、いい加減慣れたいものだ。
「ナオキー、戻ったよー」
藤沢を忘れていた。
これでオレたちの席は全て埋まる。
サヤとサヤが連れてきた連中はすでに食事を始めていた。
残りは四人。
とりあえず、
「手を合わせてくださいッ!」
オレは目の前で両手を勢いよく合わせる。
こういうのはきちんとした礼儀が必要だ。
「一粒の米には万人のちからが加わって……」
「いただきます」
オレをスルーして三人は箸を取った。
「なんでフライングするんだよ」
「……今は食事中です。お話は後にしてください」
正論だ。
……。
もくもくと夕食を食べ始める三人。
オレは一人『いただきます』を言った。



