「ほらそこどいたー!」
いきなり背後から声をかけられる。
オレは持っていた二膳机に載せ、振り向いた。
そいつは体操着を着ているが、そのショートヘアには見覚えがあった。
「……サヤ、夕食のとき一緒のクラスってのはお前のクラスだったのか」
「そんなのどうでもいいでしょー」
サヤの後ろには他にも数人の女子がいた。
もしかして。
「……藤沢」
事情を話せ。
「……それがいきなり彼女が来て、『ナオキの連れよね?ここ予約するわ』って」
席を取られたのかよ……。
「藤沢に失望した」
「そんなこと言われても……」
ったく。
そんな会話をしているうちにサヤ連中に席を取られてしまった。
「ほかの席に行くぞ」
「……ないぞ」
気がつくと目の前にはエイヤが立っていた。
しかも、しかめっ面だ。
「俺たちはどうやらここで食べなくちゃいけないらしい」
「いや……どこかに椅子を持っていけば……」
いや、円形だから盆を載せる隙間もないし、ひざの上に二膳も載らない。
どうやら本当にこの机で食べなくちゃいけないようだった。
「ほら、何やってんの。あんた達も座りなさい」
サヤが机をたたく。
ちくしょう。
「仕方ない。藤沢、お前の席は取っておくから自分の食う分取りにいってこい」
「……あれ?このもう一つって僕の分じゃないの?」
指差しているそれはオレの分だ。
「んなわけないだろ」
藤沢を一蹴した。
今更どうしようもないのだが、辺りを見渡して席が空いていないか探す。
ない。
まだ列に並んでいる奴はいるが、占領されていたり席が一つしか空いていなかったり。
そこで、オレは気付いた。
盆を両手で支え、うろうろ当てもなく歩いている少女に。
それは。
「……リン!」



