「おー!おー!おー!」
「あのー」
部屋の入り口で立ち尽くす二つの影。
キョウスケはそれに構わず腕を上げ下げしながら、
「なにかね!?我々は、今、非常に、忙しい!!」
いや、ちょっと待て。
「入部希望?」
オレは入り口の二人に聞く。
すると女の方が男の腕を引く。
「はい!こいつと二人で!」
「引っ張るな」
男は若干嫌そうだが。
「……ふむ」
落ち着くキョウスケ。
「六人……六人!足りるよ!」
カナコが手をたたく。
「よかった……」
リンが安堵の息を漏らした。
「そう!我々の信念の勝利だ!!」
オレたち、何もしてないけどな。
「さあみんな!雄叫びを上げろ!!」
せーのっ。
「ヴィクトリー!!」
……だから、何だよこれ。
「ほら、そこの二人もやりたまえ!ヴィクトリー!!」
「ヴィクトリー!!」
「ヴィクトリー!!」
「ヴィクトリー!!」
「これで文芸部は大丈夫だ」
わざわざ声枯らせることじゃないだろ。
「もういい時間ですね」
カナコがそう言ったので時計を確認する。
もう六時だ。
オレの帰りはバスもだから時間を考えないといけない。



