「おっはよー!二人とも」
いつも通り、藤沢が乗り込んできた。
「藤沢、昨日眠れなかっただろ?」
「へ?……j3、そうだけどる」
あからさまに動揺する藤沢。
「やっぱり緊張して眠れないよな」
「だよね」
藤沢はわかっている。
「なのに、リンは昨日眠れたんだって」
「……へえ」
……。
いやいや、違うだろ藤沢。
そこは『そんなこと絶対ない』とか言ってくれよ。
藤沢はわかっていない。
「藤沢はわかっていない!」
「何で!?」
脈絡もない、と藤沢に言われてしまった。
「今日から二泊三日の集団宿泊だね」
「二泊三日だから帰ってくるのは金曜日になりますね」
「振替休日とかないのか?」
思ったことを口に出す。
……二人が妙なものを見る目つきなんだが。
「何をどうやって振り替えるんですか?」
「休日つぶれてないじゃん。むしろ授業がつぶれてるじゃん」
それじゃあ振り替えると登校日が増えてしまう。
「だから集団宿泊も授業と数えるんです」
なるほどその通りだ。
「しかし……行くだけならともかくあとで感想文とか書かされるんだぜ?」
それで休日がつぶれてしまう。
「先輩から聞いた話、原稿用紙半分程度でいいらしいよ」
藤沢が言う原稿用紙はおそらく400字詰めのもののことだろう。
すると、200文字程度か。
それほど多くなく楽かもしれないが。