「何でもない!」


私も照れ隠しに、ちょっと強気に答える。


「その分じゃ、もう曇ってないみたいだね、心の中」

「あ……」



そう言われてみれば。

彼に──シグレに会ってから、私はどんな辛いことか会っても、すぐに音を上げなくなった気がする。

元の彼氏と別れた日は、まるで生きた心地がしなかったのに──。


「散々泣いたから、スッキリしたのかもしれない」


そうしたら、シグレはふっと微笑みを見せた。


「そっか、良かった。じゃあ……もう俺がいなくても平気かな……」

「──えっ……?」




──頭の中が、突然、真っ白になる──




「なに……? どういう……こと……?」


シグレは一度俯いて考えた後、真剣な顔になって私を見た。


「しばらく、会えなくなるんだ」