帰り道、いろんなことを思い返しながら走った。


今はない秘書というポジションにいた2人を従えて、挑発的なうちの言葉に対抗してきた栗崎の印象は最悪だった。


″あんまり調子に乗らないことだね″


″そうだね。劣等生よりは何倍も大変だよ″


その日の昼休み、わざわざ直々に忠告をしにきた奴と睨み合ったんだ。


まさか、こんな関係になるなんて1つも思わなくて。


ケータイのアドレスを渡されても全力で拒んだのに、連絡が来たときは焦ったっけ。


フフッと笑みを漏らして少しアクセルをひねる。


その次の日、廊下で会いかけてせっかく隠れたのに見つかったときにはいきなり告白されたんだ。


速攻で断りを入れたのに、″絶対手に入れてやるんだからね″と得意気に言われて、心底腹立った。


″俺しか見えないようにしてやるからさ″


大嫌いだと伝えたときは、自信満々でそう返された。


そういえば、急に襲われかけたこともあったっけ。


家に帰れば誰もいなくて、暗い居間でいきなり後ろから。


香矢が来てくれなかったら、きっとうちはあのまま犯されてたんだろうな。


苦笑を浮かべると同時に、家にたどり着いた。