「あ、そだ。…これ、あげる」


大分風が強くなって、肌寒くなってきたとき、栗崎が何か紙のような物を手渡してきた。


「なに…これ」


先輩に向かってタメってのもどーかと思うけど、そこは不良の特権で。


「見れば分かるって」


なんか怪しげに微笑しながらその紙らしきものを指差す。


「ん・・・」


仕方なく、紙を開くとそこにはケータイのアドレスと番号らしきメモがあった。


「これ・・誰の?」


「俺の」


うちと向かい合う位置に立って、うちを見下ろしながら驚くような言葉を発した。


「はぁ!?なんであんたの?」


「いや、いろいろあるから」


曖昧に微笑んで誤魔化す。


「メールしてよ。稜のアド知りたいからさ」


なんて・・・・・・。


不良のアド知ってどうするんだろう?


「イヤだよ。メンドい」


大っ嫌いな人にアド教えるほど、うちもバカじゃないんだけど・・。