「おまえさ、同じ一年に友達いないの?」

「友達?」

「俺らなんかより、同じクラスの奴とメシ喰えよ」


咲坂さんの言葉の後、山内くんが大きく首を振った。


「嫌ですよ! 俺は隼人さんたちに憧れてこの高校に入ったんです!」

「いや、それはおまえの都合で、俺たちは……」


山内くんの勢いに、咲坂さんが押され始めてる。

安藤さんはそれでも知らん顔でそっぽを向いてた。



「ねえ、一緒に食べようよ!」

「はあ!?」

「ここまで惚れられてるんだから、一緒に食べてあげたら?
春香、わたしたちは構わないよね?」

「うん」


美鈴の言葉に、咲坂さんは引きつり顔で山内くんに視線を向けた。


「……なあ、そんなに俺たちが良いの?」

「はい!」


まるで子犬のように咲坂さんを見つめる山内くん。


咲坂さんは渋々「じゃあ、行くか」と言った時、

安藤さんが逆方向に足を向けた。