「隼人さーん! 楓さーん!」
二人の名前が呼ばれてる。
それは意外にも、男の人の声だった。
「隼人? 呼ばれてるよ?」
美鈴が声をかけても、前を歩く二人は全然振り返ろうとしない。
「隼人さーん! 楓さーん!
一緒にメシ喰いましょうよー!」
あれ? どうして?
二人とも、完全にシカトしてる。
「ねえ、答えてあげたら? わたしたちは教室に戻るよ?」
そう言った美鈴と足を止めた瞬間、咲坂さんが振り返った。
「おまえは生まれたてのヒヨコか!?」
「あ~~、やっと振り返ってくれた~」
咲坂さんに怒鳴られても、笑顔で近づいてきた男の子。
彼は5つの焼きそばパンを持ち、にっこりと笑ってわたしと美鈴に深々と礼をした。

