「おーいっ、楓!」
咲坂さんの大きな声で、みんなの視線が一斉にこちらに移る。
うわぁ。こんなふうに人から注目されるって凄い。
なんだろう……一気に不安に溺れる。
いや、注目されてる原因はわたしではなく咲坂さんだけど……。
咲坂さんの声に振り返った安藤さんの視線が、少し下に向いてわたしの顔を捉える。
ドキッと高鳴った胸の音と重なるように、安藤さんの瞳が一瞬大きくなった。
けど、その瞳はあっという間にそっぽを向き、ゆっくりとこちらに足を向けた。
みんなの視線が2倍になったせい……?
やけに胸がドキドキして緊張する。
安藤さんが目の前に立つと、咲坂さんが口を開いた。
「春香ちゃんが話したいってさ」
「……えっ!?」
わたしの肩をポンッと叩いた咲坂さんの手が、なんだかとても温かく感じた。

