安藤さんに駆け寄った美鈴が、安藤さんに何か話し始めた。
ざわめく体育館の人たちの視線が、あっという間に二人に集中する。
『ねえ、あの人って楓さんの彼女?』
『えっ! 噂の一年生ってあの子なの!?』
噂……?
そっか……。安藤さんは彼女以外の女の子と親しくしないから、何でもすぐに噂になるんだろうなぁ。
ぼうっと立ってるわたしの肩に、何かが重く寄り掛かった。
「ああ~、安藤さ~ん、わたしもお話したい~~!」
えっ!?
「――咲坂さんっ!」
振り返ったわたしの後ろには、二カッと明るい笑顔の咲坂さんがいた。

