校舎を後にしたわたし達は、歩いて五分程で着いた『かすみ草』という喫茶店に入った。
ここは、美鈴がお姉さんと何度か来た事がある喫茶店で、テーブルの上にはお店の名前と同じかすみ草が飾ってある。
オルゴールの曲が小さく流れ、心地良い空間にだった。
「春香は部活に入ったりするの?」
「ううん。わたし運動音痴だし、特に入りたいっていう部活も無いし‥‥美鈴は?」
「わたし? う~ん、わたしもナシかな~」
「おいおい、おまえら暗いなぁ」
美鈴とわたしの会話を聞いてた咲坂さんが、コーラをズズッと飲んで口を開いた。
「せっかく同じ高校生になったんだから、もっとやる気だせよ」
やる気‥‥?
「例えばどんなこと?」
美鈴の質問に、わたしも頷く。
「例えば? 例えば、そうだなぁ‥‥汗をかく、とか?」
「何それ、あおくさ~い」
声を出して笑う美鈴に、
咲坂さんは「笑いすぎ」とデコピンした。
そんな二人の傍で、わたしは考えてた。
わたし、
高校生になった今、
何をしたいんだろうって‥‥。

