「飯、食ってないの?」
俯いたまま安藤さんの言葉に頷いたわたしは、
きっとタコのように赤い顔をしてると思う。
どうしてここまで体が反応するの?っていうくらい、顔が熱くなってた。
やだ‥‥
一層の事笑い飛ばしてくれたらいいのに。
そう思いながら俯いていると、視界の中に焼きそばパンが入り込んだ。
え‥‥?
顔を上げたわたしに向かい、安藤さんがパンを差し出してくれてる。
「食っていいよ」
目の前に立ってる安藤さんに目を奪われながら、両手を小さく横に振った。
「これは安藤さんが食べるパンなので」
「俺、飯食った後だから」
「けど‥‥。あっ! じゃあお金払います!」
ポケットから財布を出そうとしたわたしに、安藤さんが口を開いた。
「美鈴ちゃんの友達からは金とらないよ」

