「‥‥なっななななっ――」
一瞬の間の後、言葉にならない美穂ちゃんの声が体育館に響き渡った。
「楓さん、酷いですよ! 美穂、大丈夫!?」
「楓さんたら、冷たすぎ!!」
美穂ちゃんの友達が安藤さんに向かって叫んでも、安藤さんは振り返らずに歩き進めた。
今のはわたしも酷いと思う。
人に「うざい」だなんて言われたら傷つくよ。
それがもし好きな人だとしたら‥‥
きっと立ち直れないと思う。
「美穂ちゃん‥‥大丈夫?」
声をかけると、俯いていた美穂ちゃんはキッとわたしを睨み、唇を噛み締めた。
そして、クルッと安藤さんに体を向けて叫んだ。
「安藤さんのバカー! うざくても良いもん!
うざくてもまた声をかけますからねー!」
えっ、ええー‥‥?
「待ってよ、美穂~!」
叫んだ美穂ちゃんは、安藤さんの横を走り去り体育館を出ていった。

