「楓さん! 校舎まで一緒に行ってもいいですか?」
笑顔で安藤さんの背中に駆け寄った美穂ちゃん。
他の子たちも「わたしも!」と言って走り出した。
あんなふうに積極的に声をかけるなんて凄いな‥‥。
わたしには真似出来ない。
キャッキャッと嬉しそうに歩きだした彼女たちの真ん中で、安藤さんの足だけが静止した。
そして、低い声が微かに聴こえた。
「‥‥うざい」
え‥‥
今の声、安藤さん‥‥?
「か‥‥楓さん?」
引きつった笑顔の美穂ちゃんが、足を止めて安藤さんの隣に並んだ。
すると安藤さんが、美穂ちゃんの目を見つめて口を開いた。
「うざいよ」

