彼女が居なくなってからというもの、家は廃れた。

僕は薔薇だけでもと、一生懸命世話をした。

彼女を想いながら。


一向に戻らない記憶。

思い出したい気持ちと、思い出したくない気持ちがせめぎあう。



僕は、思い出したら何を思うのだろうか。



水を与えたばかりの薔薇に触れる。


そう、確かこの辺りに椅子に座って僕は彼女を見ていた。
そして横に彼女が居て、僕の肩に触れた。


決して大きくはない音を聞いて、撮れた写真を現像した。


彼女は始終笑顔で……


これは一体いつの記憶だっただろうか。