僕は、毎日彼女のお見舞いに、彼女の好きな薔薇を持って行った。


彼女は花束にした薔薇を一輪抜くと、花を優しく包んだ。


「ありがとう。」


そう言って微笑んだ君は、今にも消えそうで、気付いているとわかった。


自分はもう長くはない、と。


彼女のお見舞いが日課になりつつあった時、彼女の容態が悪化した。


意識のない彼女は青ざめて、手も冷たかった。


お医者様は精一杯頑張っていた。


無機質に鳴り響く、君の心臓が止まった音。




「……バイバイ」





僕を残して逝ってしまった。