「そんな雨ん中にいたら風邪引くぞぃ」








そう言って傘を差し出してくれたのは織部刑事だった。











「…いいですよ。今更傘なんて。もう濡れてるし」



「んな濡れてる手で握ってたらせっかくの手紙が台無しになってしまうじゃろ」







…っ!




織部刑事の言う通り、私の手には一通の手紙が握られていた。









それは知聡の置き手紙。







知聡の部屋の机に二通、置いてあったそうだ。









一通は両親に。





もう一通は…私宛てで。









それが知聡の遺言でもあった。