俺は少女の周りを取り巻く違和感をひしひしと感じている。

「何故、君は死んだ??」

少女は俺の疑問の答えを柔らかい口調で答えた。

「やっと私がこの世に存在してはいけない人物だと気づいたのね。あの時、油断しちゃったからあの人に殺されちゃったの」

少女は軽めのジャブをするボクサーような仕草をしている。

「殺された??一体誰に??」
少女は悲しく愛しい表情を作り“何か”に人差し指を向けた。

その細くて滑らかな指は俺を捕らえている。
何故か目を背ける事が出来ずに心臓の鼓動だけの世界になった。

「どういうことなんだ」

俺の声は震えているらしい、まるで自分から発した声ではないようで不気味だ。脳が上手く技能していないようだ、頭が歪んでしまいそうな感覚が途切れることなく続いている。

「思い出して………お兄ちゃん、あの日の出来事を」

そんな混乱した世界で聞こえた少女の声を必死に探し、耳に全神経を傾けた。

あの日の出来事とは一体何だろうか。
何故、少女の人差し指は俺に向けられているのだろうか。
何も考える事が出来ない、そんな中で少女の口がゆっくりと動き始めた。

手術室は静かに俺と少女のとキャリーを暗闇へと誘っている様で悪寒を感じた。