奴らはもがいている。
歴史の教科書に載ってあった地獄絵図さながらの光景が俺の目の前で繰り広げられている。

髪は溶けて皮膚が腐敗していくのが分かる。
身体全体に硫酸がかかったために奇声を上げて身体のあっちこっちを掻きむしっている。

強く掻きむしっているせいで身体の肉が剥がれ、ホースから水が噴き出すように大量の血液が噴き出している。

さらに天井から少女が飛び降りてきた。
黒いワンピースがバルーンのようにふっくらと風を含み膨らんでいる。

ゆっくりと地面に着地するともがき苦しむ奴らに注射器を刺していった。
それから奴らはもがくのをやめた。

多分、麻酔でも射ったのだろう。
静かになった奴らを手術台に仰向けの状態にして手際よく手足を縛っている。

あとの二人は長方形の業務用テーブルに乗せて手足を縛った。

少女は一仕事を終えるとショルダーバックから飴玉を一粒取り出して口に含んだ。

「なんか呆気なく終わったわね、でも楽しみはこれからよね」

少女は三体の化け物を見ながら含み笑いをしている。それから、ショルダーバックから飴玉を一粒取り出して俺の口に入れた。

「たまには糖分を取らないと本当に死んじゃうよ」

当然だが身体が拒否をしてしまいすぐに吐いた。

すると、少女は口に含んでいる飴玉を口移してきたのだ。
何度も吐きそうになったが飴玉が溶けて無くなるまで続いた。

まるで接吻だ。

少女は俺の顔を見て柔らかい笑いを見せた。