桜の木の下で〜君と思い出の場所

「一番行きたかった場所は此処さ…」
桜の木が沢山ある静かな場所。


まるで此処だけ、時間が止まっているかのようだ。

「懐かしいわね…よく、宗一郎さんと一緒に歩いたわよね…」

宗一郎さんは、嬉しいそうに私を見つめていた。

「……私達、よく喧嘩したわよね…あの時は、本当に結婚出来るのかしら?と思ったくらいだわ」

ふふっ…と、私は口元に手を当てる。
宗一郎さんは、桜の木を見上げる私の肩を抱き寄せた。


私は、宗一郎さんの肩にもたれかかる。
「もう…こんなに時は過ぎてしまった…。私の手もシワシワね」

自分の手を見つめていると、宗一郎さんは「梢さんは、昔も綺麗だったが、今でも綺麗だよ。輝いているじゃないか」

見つめ合う私達の前に暖かな風が吹く。


花びらが踊るように舞う姿は、とても綺麗で見入っていた。

「梢さんの髪に桜の花びらが付いてるよ」
宗一郎さんは、優しく私の髪に触れる。

「…これからも、ずっと一緒に居て下さいね」

私が、そう呟くと宗一郎さんは頷き「愛してるのは、君だけだ。これからもそれは変わらないよ」


一粒の涙が零れ落ちる…
一途な想いが胸に、伝わって来たからだ。

「私も、貴方を愛してます…」


2人の指先は、自然とお互いを求め合い、手を絡ませて握りしめる。


お互いの薬指のシルバーリングがピカリと光って、輝きが増しているような、そんな気がしていた…。


〜愛しています、これは一生変わらない〜