千景くんは幼なじみ

「ちょっと…はぐれちゃって」

嘘。まさか、トイレに行ったはずが、他の女と一緒ですとは、言い難い。

「ふーん。そーなんだ…。なー、アレ何?」

穂積、部室裏を指差す。

うわ、見つかった。

ちーちゃんと梓、だよね。でも、それだけじゃなかった。

指差す方向をたどると…そこには信じられない光景が。







梓はちーちゃんの胸にしがみつき、ちーちゃんは梓を抱きしめていた。

穂積と二人、顔を見合わせる。

「ムカつくーっ!何、アイツ。結愛以外にも、オンナいたんだっ?だから今、結愛一人なんだ?」

裏切りに厳しい穂積。たとえ相手がちーちゃんであっても、それは許せないんだ。私にあれだけキツクあたってたのに、その事はもうすっかりアタマから消えているみたい。

嫌な事をすぐ忘れちゃう寿太郎くんと、そういう所は似てるんだね。さすが姉弟。

「結愛っ、行くよ!」

穂積は私の腕をグイグイ引っ張り、展望台から引き摺り下ろそうとする。

「ちょっと待ってぇ…。私、行くの怖い…」

「は?何でだよ。しかもアイツ、和奏のクラスの…結愛と最近仲良くしてる女…」

穂積、知ってたんだね。