千景くんは幼なじみ

情けないなー。ちーちゃん、やっぱ年下。

姿は大人っぽく見えても、中身はまだまだコドモだね。

私のコト、もう子供扱いさせないんだから。

そんな事を思いつつ、隣にいる寿太郎くんを見上げる。

そしたら彼はもう私を見ていなかった。

寿太郎くんは、展望台の縁に乗り出し、突然大きな声を出す。





「和奏ぁーーーーーっ!」

うわぁっ!びっくりしたっ。

寿太郎くん、突然大きい声出すんだもん。

でも、周りは結構ざわついてるし、迷路の中で疲れ果てている和奏くんは、寿太郎くんの声が聞こえてないみたい。

思わず耳を押さえた私を見て、イタズラっこみたいな表情を見せる寿太郎くん。

「あ、結愛。ごめん、オレ…つい、いつもの調子で…。うるさかったよな」

「あはは、ちょっとねぇ」

ちょっとと言いつつ、かなり驚いたけど。

「オレさ、和奏救出してくる…」

「あ、うん。じゃあ…またね」

「おぅ。真中と仲良くなぁ」

寿太郎くんは、心の底から祝福してくれてるよーな笑顔を私に向けてくれた。

…涙出そう。