千景くんは幼なじみ

え…何だろ。改まって…。

「メール、昨日送ろーと思ったんだけど…できなくて」

「えっ、メール?」

「自分から聞いといてアレなんだけど。…あのさ、メール苦手だし、電話しても…いーかな」

えーと…。

それは、別にいーけど。

戸惑ってると、寿太郎くんはズボンのポッケに挟んでいたキャップをかぶる。

「あ~、ゴメン!メーワクだよな?その…困らせたいわけじゃないし、嫌だよなぁ。オレ、大した話もできねーし」

キャップで目を隠してしまい、寿太郎くんの口しか見えなくなってしまった。





…目は合わせてくれるようになったけど、これじゃー顔がよくわかんない。

恥ずかしいんだろーなぁ。

そりゃ、恥ずかしいよね。

決死のこの態度を、私はどう受け止めるベキか…。






和奏くんの方をチラと見ると、ウンウン頷いている。

…オッケーしろって事?

私たちの会話、あんな遠くから聞こえてるのかなぁ。

疑問に思いつつ、とりあえずさっきの返事をする事にした。