「ねぇ」
聞いたものを聞いてないみたいにしている彼ら。
「なんだよ」
「もうちょっとさ、「そうなんだ」とか「俺らが居るじゃん!」とか言えない訳?」
「ソウナンダ」
ちょ・・・、棒読み・・。
「元気だしなって、あおちゃん」
唯一慰めてくれるのは拓真だけか・・・。
「ありがとう、拓真!」
ゲームに夢中の拓真の首に思い切り抱きつく。
「くるしい、しぬ」

「俺が居るだろ。な、松風」
その後ろから急に抱きしめられる。だから酒くせーって。
「し・・・ぬ」
「あんたには言われたくないな」
「別にいいじゃん。松風もちょっとは大人になったってことでさ。な?」
大人になった・・・?あたしが・・?
ついさっき『子供だから』と言われて振られたあたしが?
「そっか・・・。お前みたいなブサイクでもヤろうと思ってくれた男がいたか」

は?ちょっと待ってよ。ヤろうって?何それ!
「・・・ちょっと待って。」
「え?」
「勘違いしてるよ!あたしは確かに年上の彼氏に振られたけれども!みんなが思ってるヤるとかそういう事はしてない!確かに手は繋ぎそうになったけど汗ばんでたから・・・だからまだあたしは美しいです!天下の松風蒼以はまだ純潔じゃい!」
大きな鼻息と共に言い切った。勘違いされたら困るもん。

「・・・何言ってんのお前・・・」
へ?そう思って和也を見ると耳が真っ赤になっている。
拓真は口を大きく開けていて、ゲーム機からは「でれっでれれれれん♪」という愉快な音楽。マリオ死んだか。

「え、なんかおかしなこと言った・・・?」