次々と放たれる毒に、ブレーキをかけようとしたのは旬斗だった。
「やめろよ蒼以、みんな謝ってんだぞ」
「・・・たなんか」
「え?」
「あんたなんか嫌いだ」
頬に涙が伝った気がした。

うな垂れていた三人も、その言葉に唖然とした。
「蒼以・・・」
口を開けて呆然としている旬斗を見て、事の重大さに気づいた。
「ごめ、旬斗・・・」
そう言った頃には旬斗は部屋を出て行ってしまって。
周りを見渡せば、泣きじゃくっている男三人が居た。
そしてメイド服を着させられているあたし。

なんだ、これ。
なんだ、この風景。
メイド服着させられて、暴言吐いて。
なんだ、これ・・・。

「俺たちの蒼以が・・・、あんなこと言った」
「僕、三次元の世界もちゃんと見てるよ・・・」
「俺なんか、黙れナルシストって言われた・・・」
ぶつぶつぶつぶつ話す三人なんて気にしていられない。
ていうか、お前らのあたしじゃないし。
『あんたなんか嫌いだ』
本心なんかじゃないのに、あの場で言ってしまったら誰だって本気にしてしまう。
そして少しの時間が経つと、あたしの服は元通りにさせられ、いつもの説教タイムが始まった。
誰か一人が何かをしたら、必ず集まるという意味の分からない集会のようなもの。

小さい頃からいっつも。
公園でもなんでも、あたしたちは正座をさせられて。
そして頼の話を延々と聞くのだ。

「蒼以、そんな言葉どこで覚えた」
「知らない」
「蒼以」
「言っとくけどね!」
「・・・なんだよ」
「あたしは、もう子供じゃないんだよ」