「・・ひどい」
膨れっ面になる拓真。
「ごめん!最後にあたしの幼なじみを紹介します」
「もう言いたくない」
ご飯を一足先に食べ終えただろう拓真はすでにゲーム機を開き、ピコピコ戦闘している。

「も~、しょうがないな・・・幼なじみの早瀬拓真。早く言っちゃえば腐れ縁なんだけどね。昔いじめられてた所をあたしが助けてから仲良くてアニヲタでこんなんだから姫菜ちゃんとは話合わないかもだけど、よろしくね?・・・ほらこっち来いっ」
少し離れた場所に移動した拓真を引っ張り出す。
姫菜ちゃんは「よろしくお願いします」と手を差し出す。

ゲーム機から目を移し、手を握る。
「エヴァの・・・アスカに似てますね、ハーフですか?」
ボソボソ、と呟くと女子高生の大半は理解できないと思う言葉を口にした。
『何を言ってるの』という感じで見ている。
きっとその大半に入ってるんだろうなあ、と思いつつ返答を伺う。
すると驚きの言葉を口にした。
「アスカですか?嬉しいです!残念ながらハーフではないんです。でも母の父がドイツ人なのでクォーターです」
あのヲタクの質問に満点の答えで返した。
「そうなんですか、確かにそう言われればそうですね・・エヴァでは誰が好きですか?」
更に広がるヲタクの波。

「うーん、難しいけど私はカヲルくんが好きですね。意外に日向とかも好きです」
「へぇ、僕は勿論綾波が好きです」
なんだなんだ。この子は・・・。
「姫菜ちゃん、ハーフなんだ!ぽいぽい」
こいつと会話出来る女の子を久々に見た気がする。
っていうかこいつ何笑ってんの。手離しなさいよ!マリオ死んでるってば!
「はいはい!あたしも綾波レイが好き!男キャラではワンピースのゾロが好き!」
二人の会話が止まって、視線はあたしに向く。
「どうしたの、あおちゃん」
不思議そうにあたしの顔を見る。手、手!
「手離しなさいよ!ごめんね?姫菜ちゃん」
姫菜ちゃんは満更でもなさそうに笑う。

「っていうか拓真!あんたいつまで手握ってんのよ!」
「別にあおちゃんには関係ないじゃん」
「関係ある!いっつも可愛い子見るとニヤニヤニヤニヤ・・・」
「そんな気持ち悪い顔はしてないよ」
「してる!鼻の下伸ばしてる!」
あたしがその顔を真似して見せると、頼に頭をたたかれた。
「いって」