「じゃ、そろそと帰る?自由時間って言っても、待ち合わせ時間はあるんじゃない?」

そう卓也が切り出した。


そして俺らはファミレスを出る。



「あーあ、夕斗君が携帯持ってないのがショック」

愛がそう言った。


いや、持ってないんじゃくて、教えたくないだけ。

卓也たちも気をつかってか、俺が携帯持ってないって話したら、それに合わせてくれた。


「俺らがいるじゃん!今度遊ぶ時、なるべく夕斗誘うからさ」


「約束だよ?」


大和と愛がそんな約束する中、桜が俺に近づいてきた。


「夕斗君が……京介先生の弟だったなんて、びっくりした。なんか……運命感じちゃった」

また上目遣い。


「ああ、俺もビックリしたよ。まさか、兄貴の学校の子たちだったなんて」


ビックリしすぎてるよこっちは。


「私が、京介先生を好きだって話し、気にしないで?」


「あ、うん。わかった」


いや、特に気にしてないんだけど。

でも……なんで俺は藤沢の事は気にとめたんだろうな。

桜の事だって、可哀そうだって思ったら好きになってた?

それとも、藤沢が兄貴の彼女だったから、守りたいって思った?

兄貴も認めた、藤沢だったから?

なんか、もうわかんねーや。

モヤモヤがさらにモヤモヤ。




さっきから賑やかだった女子達の会話が止まる。

そして、愛が口にした。


「ねぇ、あれ……藤沢じゃない?」


え……?藤沢?


「はぁ?ドコ?」

奈々が怒り口調で言った。

そして俺は愛が見ていた方に目を向けた。



そこには、普通に買い物をしている藤沢がいた。


なんて、最悪だ。