◆兄貴の彼女◆




夕斗へ

元気にしているか?

お前がこの手紙を読んでいるということは、俺はこの世にはいないんだな。

俺は教師になって3年になる。
教師っていうのは、大変な仕事でもあるけど、とてもやりがいのある仕事でもあるんだ。

毎日の生徒たちの成長と、夢を追いかける生徒たちの後押し。
それは、俺の胸を熱くしてくれる。

とにかく、教師というのはいいもんだ。

あと夕斗、お前に話したいことがある。

実は今、俺には大切な人がいる。
教え子の「藤沢千鶴」という子だ。
すごく優しくて、いつも俺に笑顔をくれる。

お前にこういう事頼むのもあれなんだが…もし俺に何かあれば、その子の友達になって、その子をささえてやってほしい。

自分勝手なのはわかってる。
けど、お前にしか頼めないんだ。
お前は、優しい奴だから。

こんな自分勝手な兄を許してくれ。

最後に、お前も夢をまだ探しきれていないなら、まず自分がやりたいことをひとまず探してみろ。

夢探しはそこからでも遅くはない。




神崎 京介