「今更かよ…もっと早く…もっと早く届いていれば、俺は藤沢を信じてやれた」
いや、そうじゃないか。
これはただの言い訳にしかならない。
この手紙がなくても、最初から俺が信じてあげればよかったんだ。
肩をおとす俺に、隼人が静かに口を開く。
「自分に届いた手紙、読んだ方がいいんじゃないのか？今は落ち込んでるより、読んだ方が何か千鶴ちゃんの力になってあげられる事が書かれてるかもしれない」
もっともの意見だ。
返す言葉もない。
俺は、首をただ縦におろして、ゆっくり封をあける。
真っ白の封筒に、真っ白の便せん。
それを開けば、身に覚えのある字。
本当に、兄貴の字だ。
俺は、ひと呼吸おいて読み始めた。
