「いやいやいや、笑えないって」
苦笑いしか出来ない。
「消印がないのにポストに入ってたから、もしかしたらって思って、兄貴が前住んでたアパートの不動産に、電話したんだ」
「で?なんて……」
「つい最近借りる人が決まって、畳の入れ替えをした時に畳の下から出てきたものらしい」
じゃ……これは、兄貴が亡くなる前に俺たちに書いた手紙だって言うのかよ。
わざと、畳の下に入れたのか?
時期が来るのを待って?
「で、その不動産の営業の人が、ウチのポストにわざわざ朝早くに入れてったらしいよ。起こしちゃ失礼だと思ったからだと」
「…………」
「ハァ。俺たちだけじゃない。父さんと母さんの分もある」
何も言えずに、ただ手紙を見つめる俺に、ため息混じりで続けて話す隼人。
「あと……」
「……?あと、なんだよ」
とっても何か言いづらそうな顔をしている。
「あとひとつ、手紙があったんだ」
「え?」
「これ」
差し出された手紙を見た俺は、目を見開き何度も確認した。
そして徐々に、胸の痛み、不安、罪悪感……すべてが込み上げる。



