◆兄貴の彼女◆






そんな2人が特別な関係になるきっかけが、高校2年になる始業式だった。



『どうしよう!遅刻遅刻!もう門閉まっちゃってるかも!』



案の定、門は閉まっており千鶴は遅刻。


『あ~あ』


『君、2年生だね?』


『…うわぁよりによって…』


遅刻を発見したのは、当時『柏の鬼』と言われていた生徒指導の先生。


『2年にもなって、遅刻はどういうことだね?今日は、大事な始業式なんだぞ?』


『すみません』


『まったく、寝坊だろ?どうせ。最近の若いものは……』


(あー、始まっちゃったよ。)


柏の鬼、生徒指導の先生の説教は長いと有名。

逃げられない千鶴に、声をかけた人がいた。



『あ!ちょっと、君ー!』


『……え?』


慌てて千鶴と生徒指導の先生のところへ駆け寄る先生。


『ん?神崎先生どうしたんですか?』




そう、神崎京介。

(わぁ、神崎先生だ……)


こんな近くで好きな先生が見れるなんて、ましてや話しかけられたのも高校1年の入学式以来。

千鶴は、恥ずかしそうに下を向いた。