「なんだお前、藤沢を助けて遅刻したんだろ?お前の席の隣だから、藤沢千鶴さんだ。仲良くなってやれよ?」

先生の紹介があり、俺の耳に入ってきたのは「藤沢千鶴」という名前だけだった。


藤沢……千鶴、って言うのか。


何秒見ていたか分からない。

気づいたら藤沢は、俺に小さく礼をしていた。


ハッとなった俺は、急いで自分の席に座る。

やばい……なんでだ。
心臓が、なんか騒がしい。

これは一体、何の知らせだよ。



「授業再開するぞー!」



その言葉に、みんなが一斉に教科書に目を向ける。

俺は、どこに目を向けていいのか分からずにいた。