「夕斗!」


美佳が、こっちに向かって叫んでいる。


それに気付いて彼女は立ち上がり、俺に頭を下げた。


「あの、ありがとうございました」


「あ、いや……」


「クリーニング代、払います」


「いいって。別に……洗濯すれば落ちるし」



俺達が探し終える頃には、すでに野次馬はほとんど居なくなっていた。



「でも!」


「見つかってよかったな。じゃ、俺先行くな」



俺はそれ以上の言葉を聞かず、川から上がった。

そんな俺に美佳が近づいてくる。



「ちょっと何してるのよ!しかも、あの子って昨日の……」


「悪い美佳。俺家帰って着替えて学校行くわ」


「ちょ、ちょっと!!もう、何なの?」




そんな美佳の声を背中で聞いて、俺は家に向かって歩いた。