そして気づいたら俺は、その川に入り、彼女の前に立ってた。



「……アンタ、兄……」



兄貴の墓に居たよな?って言おうと思ったけど、様子がおかしかったから、言うのをやめた。


「石……」


「……え?」



彼女は涙を流し、俺を見てそう呟いた。



「石?落としたのか?」


「私……ごめんなさい。あれがなきゃ……私」



彼女は俺の制服を掴み、泣きじゃくった顔で俺に謝り続けた。



「落ち着けって!石?どんな石だ?一緒に探してやるから!」


「赤い石……ペンダントの」


「赤い石のペンダントだな!」




正直自分でも、何やってんだ俺って思ったけど、あの時俺は、確かに何かを感じたんだ。




それを知るのは、もうちょっと先の話。