俺様先生と秘密の授業【完全版】

 それは。

 クラスのいじめグループよりも、少し少ない、四、五人って所だったけれど。

 放つ雰囲気が、全然違う。

 壊れたような、危うく凶暴な空気があった。

 しかも。

 全員、深紅の派手な特攻服姿ってことは。

 基本、黒しか着ない、沈黙の狼の関係者じゃない!

 つまり。

 何が起きても、兄貴の力には、頼れないってことだった。

 その、深紅の集団は。

 岸君を見るなり、吸い寄せられるように近づいた。

「岸君、危な……!」

 思わず、叫ぼうとした、あたしの口は。

 いじめグループのリーダーが、ふさいだ。

「黙ってろよ。楽しみが減るだろ?」

「……! ……!」

 どんなにじたばたと動いても、手に力を込めても。

 口をふさいだ手は、外れない。

 あたしが、何も出来ないまま、どころか。

 声さえかけることもできないうちに、岸君は、不良グループに囲まれてしまった。

「お前っ!
 一体、何着て歩いてんだよっ!」

 街で出会った、不良グループは。

 岸君を道道路の端の壁際まで、追い詰めて怒鳴る。

 誰が、どう見ても、岸君は絶体絶命だった。