俺様先生と秘密の授業【完全版】


 昼間。

 小さな子供たちが遊びに来る、というよりも。

 夕方から、深夜にかけて。

 暴走族や、カップルがやって来るような公園だった。

 しかも。

 公園のすぐそばの繁華街では、ご飯や、お酒の飲める店に混じって、ピンク色の看板も出ている。

 それは。

 いろんな所に傷を持つ。

 喧嘩が専門の『ヤ』のつく自由業のヒトビトが経営している店だったりするんだ。

 そんな中を、岸君は。

 裏の世界では、かなり名の通った、暴走族沈黙の狼の。

 本物の上着を着て歩く。

 それは、とても危険なコトだ。

 なにしろ、そんな上着を着てるヤツを狙ってくるのは。

 狼のチームメイトだけじゃない。

 チームと敵対しているヒトビトだって、ちょっかいを出すだろう。

 それでも。

 実は、あたしが。

 本当の持ち主から、正式に借りたものだから。

 族に出会ったときに、正体をバラすつもりで着れば、一番問題の無いはずだった。

 けれども。

 代わって着るから、と言おうとしたあたしの言葉を、丸々さえぎって、岸君は言った。

「オレに加月さんを、守らせて」