俺様先生と秘密の授業【完全版】

 族チームの結束の強さと、恐さは、あたしが知ってるはずだった。

 けれども。

 隠れて、ちょっと着るくらいなら。

 大丈夫かなって思った、あたしが甘かった。

 兄貴に言っておけば。

 見つかっても、日にちを変えて因縁をつけられるほど、ヒドくはやられないかもしれないけれど。

 今日、道を堂々と歩いて、どんな風になるか、なんて判らない。

「それは、もう着ることなんて無いよ、岸君!」

「そうは、いかねぇな」

 あたしの言葉に、リーダー鼻でせせら笑った。

「お前がやらないなら、加月にやらせるぞ?
 ああいう連中を怒らせたら、女子でも関係ねぇようだがな。
 お前、大事な彼女をマトにしたいのか?
 ああ、腰抜け野郎なら、女に全部かぶせて逃げっかな」

 そんな。

 ゲラゲラと笑い声が響く中だった。

 今や。

 完全に無表情な岸君は。

 ばっ、と。

 あたしが持っていた上着を、ひったくるように広げて、自分の肩に羽織った。

 その姿は。

 コトがバレなければ、即席暴走族だなんて、言わせないほど、格好良かったのに!

 絶対、いじめグループを抑えるコトが出来るはずだったのに……!