俺様先生と秘密の授業【完全版】

 見れば。

 オトナのくせに、超がつくほどわがままで。

 いつも根拠なく、えっらそうにしている早瀬倉先生が。

 しょぼん、と肩を落として処置用ベットでのの字を書いている。

 うぁ……これは、マジ落ち込んでる。

 さすがに、コレはまずかったかなぁ。

 と。

 思わず声をかけようとすると……

 先生は、まるで。

 何かの決意でもしたかのように、すっく、と立ち上がって、自分の着ている白衣の胸ポケットから自分の携帯を出した。

「……そんなに、俺が嫌なら。
 お前の家族に、来てもらう」

「えっ?
 それは……!」

 救急車を呼ぶほどでなくても、傷が酷いから、一人で返せない、となると。

 家族を呼ぶのが当然だ、と。

 先生は、わたしの返事を聞かずに、携帯の短縮番号を……押しちゃった!

「まてまて、まってっ!
 その、電話先は、お父さん!?
 それとも、兄貴!?
 どっちにしても、ここに呼び出したら、もっのすごく、マズイって、先生知ってるはずだよねっ!?」

 焦るあたしに、今度は先生は力いっぱい頷いた。

「百も承知」