泣かないもんって、意地を張り。

 涙が流れないように、見開いたままの目から、ぽたぽたと大粒の涙が、落ちてゆく。

「ど……どうしたの。
 ぶつかって、どっか痛めた?
 それとも、もしかして、オレの告白……っ!?
 泣くほどイヤで、困った?」

 焦って聞く、岸君に。

 あたしは、ふるふるっとクビを振った。

 そーじゃないよ。

「ちが……っ。
 泣くこと……なんて……っ、一つも……無いのにっ!」

 なのに。

「ナミダ……っ、止まんない……の……っ!」

 ……どうして、止まらないんだろう……

 自分のココロに収拾がつかないまま。

 勝手に流れてゆくナミダに困ってるあたしに。

 岸君は、優しく微笑んだ。

「これから先、本当に付き合うかは、別として。
 今日は、一緒にごはん、食べない?」

「……え? でも……」

「大丈夫。
 ナミダのワケなんて。
 話したくなければ、聞かないよ。
 ただ、オレは。
 大好きな人が泣いているのを放っておけないだけだよ」

「……岸君」