俺様先生と秘密の授業【完全版】

 送ってなんてくれなくていいってば、なんて。

 あっさり諦めたわたしは。

 そこらへんに散らばってる、私物の学生かばんや。

 手下げを適当に集めて、とっとと帰ろうとすると。

 先生は、あたしを大げさに止めた。

「嘘だよっ!
 やっぱり心配だから、送っていくって。
 いいか?
 お前は、そこで少し待っとけ。
 今、俺も帰る準備を……」

「先生、さようなら~~」

 先生、男のくせに、準備遅いし。

 なにやらバタバタと帰るしたくをしている先生を放っておいて、保健室を出ようとすると。

 先生が、ぐぃ、とわたしの肩をつかんだ。

「……だから、お前も短気なやつだな。
 怪我をしている奴を放っておくわけには、行かないんだよ」

 も、もちろん一、養護教諭としてだな……と。

 何だか口の中でごにょごにょ言ってるヤツに、あたしは思い切り舌を出した。

「そこで、いきなり、お仕事思い出さなくたっていいでしょうが」

「だがな……!」

「先生、ウザっ!」

 あたしのトドメ一発に。

 先生は、くらり、とめまいを起こしたようによろめいた。

 ……あ。

 先生、傷ついた。