俺様先生と秘密の授業【完全版】

 うん、もうっ!

 岸君、また弱気になってるっ!

「ごまかすことができるかな?
 じゃなく、ごまかすのっ!
 岸君だって、もういじめられるの、イヤでしょ?」

「……うん……まあ、ね」

「まあね、じゃないの!
 イヤなら、はっきりイヤって言わなくちゃ、ダメじゃない!
 だから、いじめグループに付け込まれるのよ?
 わかる?」

 もう!

 見てるだけで、イライラするったらっ!

 しかも、このままじゃ。

 本物の服を着たって、説得力無いし!

「せっかく『らしく』見せて、脅かすんだからねっ!
 猫背、禁止!
 ほらしゃきっと、背伸ばして!
 それと前髪!
 放課後には、払うか、オールバックにして来んのよ!」

「……は~~い」

 あたし。

 せっかく頑張ってるのに。

 岸君のふよふよ~~っとした返事に、がくっと力が抜けそうになった。

「岸君!」

「は~~い」

「あたし、放課後すごく心配。
 衣装のことより、岸君自体が」

「そんなこと言っても」

「だから、今、ここで練習しよ?
 いきなりじゃ。やっぱり無理だもん、ね?」

「ええ~~っ」

「つべこべ言わない!
 やるわよ!」