俺様先生と秘密の授業【完全版】

 とうとう。

 岸君のやり方が見ていられなくて。

 あたしは、横から口を出した。

「岸君の言ってることは、本当よ。
 だって、あたし、保健室にいた時に、見たもの」

「加月さん~~」

 あたしの言葉に、岸君は、泣きそうな小声で名前を呼んだ。

 ついでに。

 袖も、つんつんと引っ張ったの分かったけど、とりあえず、無視。

 ……忙しいんだってば。

「岸君は、怖いんだから!
 あんまり無茶なコトを言って怒らせない方がいいよ?
 でないと、岸君のお仲間さんがやって来て、取り返しのつかないことに……!」

 そんな風に、勢いよくしゃべるあたしの言葉を、リーダーはあっさり遮った。

「じゃあ、証拠を見せてみろ」

「……え?」

「岸の一言で、暴走族が動いたり。
 真昼間に、わざわざ迎えが来るようなら、族ん中でも相当上の方にいるはずだろう?」

「ま、まぁ、ね」

「だったら、その証拠をオレらに見せてくんない?
 本当に、族の一員だったら、オレらたちだって莫迦じゃねぇ。
 もう、岸には手出ししねぇ、けどなぁ……?」

 そう言って、リーダーはにやにや笑った。

 ……岸君と、あたしの言っているコトなんて、まったく信用せずに。

 うんっ! もう!

 腹が立つっ!