俺様先生と秘密の授業【完全版】

 昨日の暴走族……沈黙の狼のお迎えは、確かにあたしで。

 岸君には、まるで関係ないはずだった。

 なのに、どうしてそんなこと言うんだろう?

 不思議に思って、でも。

 精一杯、頑張っているような岸君を見て、はっ、と思った。

 ……そうか。

 いかにも自分が、暴走族の一員であるかのように。

 あんまりかまうと、仲間たちが許さないよ、って。

 ハッタリをかまして、この場をなんとかしようと思っているんだ。

 きっと、そうに違いない!

 うん、そう言うことだったら。

 あたし、協力するもんね。

 そう、ココロの中で腕まくりしたけれど。

 岸君が、ウソを言っているに違いない、なんて思ったのは、あたしだけじゃないようだった。

 イジメグループのリーダーも、疑い深そうに、すい、と目を細めた。

「それ、本当か?」

「……多分、ね」

 そう、ちょっと自信なさげに、岸君は、言った。

 ……うわ。

 ここでまた、いきなり弱気になって、どうするの!

 ハッタリなら、最後まで強気じゃないと意味ないのに!