俺様先生と秘密の授業【完全版】

「オレ達は、岸と遊んでやってんだよ」

「……ウソ」

「ウソなもんか。
 岸ってさ。いっつも一人でいるじゃね?
 しゃべり方も変だし、かわいそうだから、オレらが遊んでやってんの」

 リーダー格は『なぁ、みんな?』っていう呼びかけた。

 それに、仲間たちが『おお』なんて応えてる。

 ……絶対、ウソだ。

 だって。当の岸君は。

 まだ、鞄を抱えたまままだうつむいてる。

 握った手が、小刻みに震えてる。

 ……怖いんだ。

 この、自分をイジメようとする、クラスメートたちが。

「でも……」

 リーダーの言ってることが、どうしても納得いかない。

 だから、更に言おうとしたら。

 あたしの言葉はさえぎられた。

「それなら、さあ。
 加月がオレらと遊んでくれたら、岸のことは見逃してやるよ」

「……え?」

「何驚いた顔してんだよ!
 昨日だって、せっかく岸の顔を、バケツで洗ってやってたのに。
 ガラス割るなんて、大事起こして止めたんだろ?」

「……」