俺様先生と秘密の授業【完全版】

 だから、と言って。

 か弱い。

 ほんとーの乙女のあたしが、目つきの悪い男子にできるコトは、限られていて。

 ココロの中の勢いは良くても、実際にやることは、ちょっとだけだ。

 あたしは、深呼吸して男子の集団に近づくと、小さな声で言った。

「ねぇ、もう。
 ひどいことは、やめようよ」

「ああ?
 なんだ、また、てめぇか」

 目つきの悪っるい集団のリーダー格が、すごんだ声で言った。

 ……また、あたし、で悪かったわねっ!

 フツーの女の子は、そんな風に睨んだら、泣いちゃうんだからっ!

 まだ、あたしはマシなのよっ!

 兄貴のオトモダチを見慣れているせいで、意見ぐらいは言える。

 ……怖いけど。

「なんで、みんな強そうなのに。
 弱そうな一人を囲んでいじめるの?」

「イジメ……?
 なんだ、人聞きの悪りぃコトなんざ言うなよな!」

 あたしの言葉に、リーダーは、にやにやと笑った。

 イヤな感じで。